🌳苦しい感情に居場所を用意してみる方法
「人生は、思い通りにはいかないものだな…」
恐らく、誰しもがこんな風に思った経験があるかと思います。
慣れない生活が始まって半年近くになりますが、かなり疲れている時や、上手くいかないと感じれいる時に、ふっとこのような思いがかすめることがあります。
私たちは、思い通りにいかなかった時の苦しい感情を、抑え込んで我慢したり、忘れようとしたり、考えずに逃げたくなることが多いかもしれません。けれども、そのような感情としっかりと向き合って、柔軟に対処できるようになれば、人生の質を高めていくことにつながってくるように思います。
フォーカシングにも感情と上手くつき合っていくのに役立つ方法がありますが、今回は、ラナ・ハリス氏の著書『相手は変えられないならば自分が変わればいい』で説明されている方法を紹介したいと思います。
著者は、感情について、「良い感情」・「悪い感情」ではなく、「心地よい感情」・「苦痛な感情」で語ることを勧めています。そして、「苦痛な感情」をうまく扱うための方法として、「NAME」というシンプルなアプローチを紹介しています。
「NAME」アプローチとは?
「NAME」とは、感情に気づき(Notice)、その感情の存在を承認し(Acknowledge)、その感情の居場所を作り(Make space)、最後に、視野を広げて考える(Expand)という4つのステップからなる方法です。
例えば、怒りや不安を感じたとき、その感情に「気づく」ことから始めます。感情を無視したり、抑え込むのではなく、ただ「今、こんな感情があるんだな」と認識してみます。そして、深く深呼吸をして意識を身体に移して、その感情が最も強く感じられる場所を探してみます。
その感情に、「怒り」や「不安」といったシンプルな名前をつけて、距離をとるようにします。その時、感情が「自分の全体」ではなく、「あくまでも一部で一時的なものである」と認識し、価値判断をつけないことが大切になります。
「居場所を作る」段階では、その感情を抑え込まず、少しの間そこにいてもらうようにします。その感情が不快であっても、深呼吸をしながらその感情を包み込むイメージをもって居場所を用意するようにしてみます。
最後に「視野を広げる」段階では、感情にスポットライトを当てていた照明を少し暗くして、自分の人生全体を照らすようにして俯瞰してみます。
私たちは感情だけではなく、他にも多くの側面をもっている存在ですし、たとえその苦痛な感情があったとしても、外の世界に目を向けて、自分の価値観に基づいた行動を選択することも可能なのですよね。
「今、自分がしたいことは何か」を問いかけてみて・・・
そして、そのことに向かって、今の自分にできることをほんの少しでも手を着けて動いてみることができたなら・・・
きっと、今の状況から少しずつでも変わっていきますよね。
この「NAME」のアプローチを行ってきた私の印象としては、
・苦しい感情に対して、できるだけ優しい気持ちで、思いやりをもって扱うようにすること。
・その感情を呼吸でふわっと包み込んであげるようにイメージしてみること。
上記の2つのことを意識して取り組むことができると、収まりのよい場所が見つかり易く、こころが落ち着いてくるように感じています。
簡単にはいかないこともありますが、感情に振り回されず、冷静で広い視点をもつことができるようになれば、きっと、こころの広がりや人生の豊かさを感じられようになっていくことと思います。
このアプローチは、他の人にガイドをしてもらった方が取り組みやすい方法かもしれません。
YourTreeでもガイドをしてサポートさせていただきます。関心をもたれた方は、YourTreeのセッションもどうぞご利用ください。
※参考:ラス・ハリス (著),「相手は変えられない ならば自分が変わればいい: マインドフルネスと心理療法ACTでひらく人間関係」, 2019