🌳フォーカシング・アプローチ「アニクロ×ギフト」①🌳
11/17(日)開催のオンライン・イベントでの感想の続きです。最後に実施した、「フォーカシング・アプローチ:アニクロ×ギフトのワーク」についてを、2回に分けてお伝えしようと思います。
「アニクロ*」は、ユージン・ジェンドリン(哲学者・心理学者)の「体験過程理論」に基づいて関西大学教授の池見氏が考案したワークです。動物というメタファーを用いることで、身体性(身体の感覚)も捉えながら、動物という「他者」を見つめることになり、これまでと異なる新しい理解が可能となってくるものです。
「こころの花束**」は、元九州大学教授の村山正治氏が考案され、対人関係での不安軽減や自己肯定感の向上につなげていく、パーソンセンタード・アプローチ(PCA:人間性中心療法)のエンカウンターグループの方法として開発されたものです。少人数グループで、1人ずつ将来の夢など自分自身のことを語り、それを聞いた他のメンバーが話し手に対しての肯定的なメッセージをフィードバックしていくワークです。
今回のイベントで行ったのは、「アニクロ」と、「こころの花束」のワークのエッセンスに加えて、「インタラクティブ・フォーカシング***」という、ジャネット・クライン氏らが「人と人との心から通じ合う関係を築くため」に考案したワークの相互作用的な応答プロセスを取り入れたものです。YourTreeがアレンジをして新たいワークにして実施させていただきました。
<アニクロ×ギフトのワーク前半の流れ>
1)講師の全体へのガイドに沿って、各自で「最近の自分」のことを思い浮かべて、内側に湧いてくる今の感じを確かめる
2)1)で得た感覚を何か動物に譬えてみて、その動物がどこでどんな様子でいるかを想像してみる
3)その動物に何か贈り物をするとしたら、どのような物がよいかを考える
4)その贈り物をもらったと想像した時の、自分の内側や体の感じを確かめる
<アニクロ×ギフトのワークの後半の流れ>
5)ペアに分かれ、前半で行った「自分が譬えた動物とその様子」までを相手に伝える
この時、自分が想像した贈り物のことは伝えない
6)5)の話を聴いた聴き手が、話し手が譬えた動物への贈り物を考えて伝える
7)話し手は、聴き手からの贈り物をもらったと想像し、内側や感覚の変化を確かめる
8)役割を交代して行った後で、各自が体験した感想をシェアする
このワークに関しても、イベント中にご報告いただいた感想、実施後のアンケートからも、嬉しいことにご好評いただくことができました。ご満足いただけた理由や、このワークの事例のご報告については改めてお伝えしたいと思います。
<参考文献>
*池見陽ほか(2019)「アニクロ:体験過程理論から見出された実存的なワーク」→https://www.akira-ikemi.net/ewExternalFiles/Anicro.pdf
**村山正治氏ら著の「『自分らしさ』を認めるPCAグループ入門:新しいエンカウンターグループ法(創元社,2014)」
***前田満寿美・伊藤三枝子著「ハンドブック:インタラクティブ・フォーカシング」(インタラクティブ・フォーカシング学習会, 2019)
****フォーカシング・ネットワークのwebsiteコラム「最上の傾聴訓練法!?インタラクティブ・フォーカシングとは?」
→https://www.focusing-network.org/listening/about_interactive_focusing/
※画像はPixabayからのフリー画像